やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「大野さんは拓也(たくや)、いや三浦部長のことどう思う?」

 言い直したけど三浦部長と長年の付き合いのある常務だからつい下の名前が出てしまったのだろう。

 微笑みながら尋ねる常務の目は笑っていない。何気ない質問のようで実は結構真面目な話なのだと私は判じる。

「いい上司ですよ」

 まずは短く答えた。しかし、こんな言葉だけで三浦部長を語り尽くせるとは私も思っていない。

「うまく第二事業部をまとめていますし、それぞれの部員に対するケアもしっかりしてますね。その上で自身の顧客への対応もちゃんとしていてすごいなぁって思います」

 褒めすぎかな?

 いやいや、まだこんなもんじゃないよね。