やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 結婚、しちゃうのかなぁ。

 何度か目の疑問を反芻する。どうしようもないことをぐだぐだと考えてしまう自分に我ながら情けなくなった。それでも波のように不安が押し寄せてくるのだから仕方ない。

 それに私は三浦部長にとってただの部下だ。恋愛対象とは見られていない。そんな私に彼のお見合いをどうこう言える権利なんてなかった。

 お見合いなんかしてほしくない。

 でも、それを断ったせいで三浦部長の出世が遅れるのも嫌だ。彼にはその能力に相応しい仕事をしてもらいたい。

 エレベーターが到着して扉が開く。

「あ」

 中から若い女の声がした。