やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 お見合い?

 聞き捨てならない単語に私は反応した。

 ドキリと鳴った胸の鼓動がきっかけを得たように激しくなる。

 今、お見合いって言ったよね?

 三浦部長が?

 誰と?

「あ、あの、部長がお見合いって」
「ん?」

 優子さんがきょとんとした。

 私は動揺を悟られぬよう注意しつつ質問を重ねる。

「お見合い話なんて来ているんですか、部長に」
「うん」

 優子さんが小さく首肯した。

「私も秘書課の子から聞いたんだけどね。何でも常務の親戚の娘さんらしいよ」
「……」

 えっ?

 それ、もしかしてまずくない?

 うっかりお見合いを断ったりしたら出世に響くんじゃ。