やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 就業時間まであと五分というところで優子さんが第二事業部に現れた。

「まーちゃん、社員食堂のおばちゃんから聞いたわよぉ」

 書類を作成していた私はキーボードを打つ手を止める。声のほうを向くと優子さんがご機嫌な笑顔で近づいて来ていた。

「新村くんからプロポーズされたんだって?なかなかやるねぇ」
「……」

 確かにプロポーズされたけどあれってよく考えるとノリで言ってきただけだよね。

 付き合ってる訳でもないし。

 本人は本気みたいなこと口にしていたけど新村くんだからなぁ。