やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 あぁ、部長の口角がどんどん下がっていく。

 比例して眉間の皺がどんどん深くなっていく。

 ご機嫌メーターがどんどん悪くなっていくよぉ。

 ……ん?

 私ははたと気づく。

 どうして三浦部長が怒ってるんだろ。

「……」

 そっか、半人前の私がプロポーズされるだなんて納得いかないよね。

 私は落ちそうになっていた椅子を動かした。新村くんの腕から逃れたいけど彼はがっちりと私を捕まえているので容易に外れそうにない。

「新村くん」

 私は言った。

「放して」
「大野さんが結婚してくれるって応えてくれたら放してあげる」