やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

「……」

 もしかして、修羅場?

 争奪戦勃発?

 いやいやいやいや。

 いくら何でもそれはないよね。

 新村くんはともかく三浦部長は私のこと好きでも何でもないんだし。

 むしろ頼りない奴くらいにしか思ってないんだろうし。

 ちくちくと胸が痛むけど本当のことなんだから仕方ない。

 私は三浦部長にとって部下の女子社員。

 彼女にはなれないしそれ以上も望めない。

 少なくとも今の私では駄目だ。

「三浦部長が美味いと言うのなら」

 新村くんが笑みを広げた。

 黒いオーラが消えた、ような気がする。

「将来がものすごく楽しみですね。きっといいお嫁さんになってくれるでしょう」
「……」

 ちょっと新村くん。

 そんなお嫁さんだなんてやめてよ。

 私は恥ずかしくなって耳が熱くなる。三浦部長の食事の支度をするエプロン姿の自分を想像してしまったのは内緒だ。