やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 お弁当を食べ終える頃に見知ったイケメンが社員食堂に現れた。

 新村くんだ。

 彼は私に気づいたらしく爽やかな微笑みを向けてくる。慣れた様子で注文を終えると丼の載ったトレイを持ってこちらに近づいて来た。

 そうすることが当然といったふうに私の隣の席に腰を下ろす。丼の中身はきつねうどんだった。

「三浦部長、お疲れ様です」
「ああ、お疲れ」

 新村くんは三浦部長と挨拶を済ませると私へと視線を戻した。

「お疲れ様、大野さんもお昼?」
「う、うん」

 先日のことを思い出し、頬が引きつる。脳内で彼の告白シーンが再生された。三浦部長もいるしどうしよう、と困ってしまう。