やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 じいっ。

 三浦部長の視線が痛い。

 堪えきれず私は口を開いた。

「ええっと、コロッケっていろいろバリエーションがありますよね。実に奥が深いというか」
「つまりこれは失敗した、と?」
「そこでつっこむのが部長の悪いところだと思います」

 私は彼を睨んだ。

 うっ、と短く声を漏らして彼はごまかすようにコロッケをご飯に載せてささやかなコロッケ丼にする。コロッケとご飯を一緒に食べる姿は部活帰りに食堂でカツ丼を頬張る中学生みたいだ。

 これはこれでポイント高いかも。

 なかなか見られない姿に私はレアリティを感じる。スマホで撮影したいけれどばれたら後が怖いだろうなぁ。