やっぱり彼女は溺愛されていることを知らない

 持ってきたお弁当を全て出したので私は一仕事終えたような気分になる。むしろこれからが勝負どころなのだろうが「手作り料理」を三浦部長の前に用意できたことだけですっかりやり遂げた気になっていた。

 というか自分にだってまともに作ったことがない。

 三浦部長がいなければ昨日のおかずだってなかっただろう。

 主食はコンビニのお握りだったし。

「大野」

 達成感に浸ろうとした私の意識を三浦部長の声が小突いた。

「ご飯はないのか?」
「あ」

 しまった!