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秋頃になると、海の近くの駄菓子屋では、
期間限定のアイスバーが毎年販売される。
瀬戸周は、このアイスバーが小学生の時から好きだったのである。
秋のはじまり、少し肌寒くなってきた季節でも海の青さは健在だ。
私は、ガードレールに腰掛けて、空を見上げていた。いつもは駄菓子屋の中までついていくけれど、今日は外で待っていたい気分だった。
夕焼けは、海を燃やせないのに、
何度も攻撃をしかけているから可笑しい。
うん、と身体を反らして欠伸をしていたら、周が駄菓子屋から戻ってきた。今日は、私の手に残念な答案用紙はない。
海に行こう、と言ったのは周だった。
「花ちゃん」
「お、買えたのだね」
「うん。なんとラストワンだった。
だから、花ちゃんの分は買えなかったけど」
「よいよ。頼んでないもん」
「ふす、それはそうだ」
また、首をすくめて笑う周。
ふたりで、海沿いの道を行く。
風に紛れる匂いが好きだ。目を閉じて、勢いよく吸い込むと、優しい気持ちになれる。優しいとは何のことか、正直なところうまく分かってはいないけれど。



