残酷なのは、どちらだろう。
恐る恐るアイスの棒を受け取る。
指が微かに触れて、冷たさが混じり合って消えた。
最初の一口と最後の一口を誰かに差し出す人間が、世界にどれだけいるのかわからないけれど、私にそれをしてくれるのは、瀬戸周だけだ。
金木犀とバニラと海が混ざり合って、それでもコスモス。
海とは、カオスではなく果てしなく整頓されてしまった空間だと思う。
だから、歪みが目立つ。
「ありがとう、周。それと、解決方法は分からないけれど、花ちゃんの意見としては、ヨシズミという人に可愛いと言われるよりは、周に言われたほうが嬉しいのだよ」
「……そうかい、そうかい」
「そうなのだよ」
「ふふ、……花ちゃん、らしい」
周、きみが首をすくめて笑わないときは、
本当は心から笑っていないのでしょう。
知っている。
いつだって、残酷なのは、どう考えても、私のほうだった。



