そうやって、成長するにつれて変化していく周りから彼女を護っていても、やはり問題というものは尽きない。
 眉目秀麗、品行方正が服を着て歩いている。ほとんどの人がそう例える僕を疑う者などいるはずもなく、秘密裏に手に入れた彼女の志望校。進学先についてはお互い口語することなどなかったから、おそらく彼女は中学卒業を機に離れると思っていたのだろう。
 元より僕との関係に、良い顔をしなかった彼女の態度が僅かに、けれども確かに、あからさまとなった高校生活。
 彼の隣に立つのは自分では役不足。彼にはもっと相応しい女性(ひと)が居る。何より彼は、エトセトラ、エトセトラ。そんな風に己を卑下して、なのに、僕を見る()に孕んだ情欲や熱量はとてもじゃないけれど普通とは言えなくて、そのくせ、己の手で幕を閉じる勇気はない彼女が、僕はどうしようもなく愛おしくて堪らなかった。
 だから、決めた。
 彼女が心置きなく僕だけを愛せるように。彼女が際限なく僕だけを求められるように。彼女が彼女の意思で僕のところまで堕ちてこれるように。
 僕と彼女の未来のために、彼女を取り巻く全てを、彼女が抱える全てを、排除しようと、決めた。