風鈴が鳴る頃に

 「あっ!」
彼女が指を指す
華奢で長い指の先に目をやると
木の枝に麦わら帽子が引っ掛かっていた

さっきの疾風で飛んできたのだろうか

「あれ私のなの!」

「えっ?!」

この田舎に来た日、車の中から見かけた
麦わら帽子の女の子の姿と
彼女の姿が重なる

あの時の女の子は紗和さんだった

「ちょっと待ってて取りに行く!」

木登りなんてしたことがなかったけど
腕に出来る限りの力を込めて登った

あと少し、、、あと少しで帽子に届く
もうちょっと、、、
精一杯腕を伸ばしたその時

勢いよく世界がひっくり返った

と同時に
背中と肘に鈍い痛みが伝わる

地面に僕の体は打ち付けられた

「ちょっと!大丈夫!!!?」
彼女が顔をのぞき込んできた