【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 柔らかな声で、シルウィンは目を開く。王城を出てからずっと馬車で涙を流していたシルウィンは、こすったことで腫れてしまった目の熱に違和感を覚えた。そんなシルウィンを見てアウラは「後で冷やしましょうね」と微笑みかけ、二人で馬車を降りる。

 しかしシルウィンは屋敷と、そして別邸を前にして足は止まった。この屋敷の使用人たちにこんな姿を見られたくない。既に屋敷に辿り着いたというのにそう考えるとシルウィンの足は動かなくなってしまった。

「あまり人のいない場所を歩きましょう。わたくしはよく知っておりますから、誰にも会いませんよ」

 シルウィンの思いを察してか、アウラが優しく声をかける。シルウィンの足はアウラの声により、少しずつ屋敷に向かって動き始めた。ゆっくりとした足取りで歩く二人の間を、穏やかな風が靡いていく。

 シルウィンの瞼の腫れは、徐々に瞳を開いているのも億劫なほどに変わっていった。そんな彼女を支えるようにアウラは歩き、そのまま別邸の裏手に周り、その中へと入るとひっそりと気配を消して進む。そして浴場に向かい、アウラは湯あみの支度を始めた。