【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「い、いやっ何っ」
「馬鹿なお前に教えてやるんだよ。王命での婚姻の苦しみをな。……だってそうだろ。俺ばっかり苦しい思いして……少しは俺も愉しませろよ……!」

 地を這うような声がシルウィンの耳に響く。不快感しか感じない温度に必死に逃れようとするが、倍の力で押さえつけられシルウィンは本能的な恐怖に襲われた。怖い。いやだ。助けて。どうにか助けを呼ぼうとしてもかすれるような声しか出ない。

 会場のほうを見ても、カーテンがかかっているせいでこちらがどんな状況にあるかを伝える手段はない。シルウィンが震えていると、カーティスの手はシルウィンのドレスに伸び、シルウィンがこの十日間こだわり、縫い続けたものは、音を立てて引き千切った。

 そこから、風の冷たさと男の湿った吐息を感じ、シルウィンの背筋は凍り、瞬く間に吐き気がこみ上げていく。

「いや、やめて……」
「はは、蛮族の娘でも嫌がる顔は悪くないな……それにお前も男を誘うドレスを選んで、こうなることを望んでいたんだろう?」