(この結婚に苦しんでいるのは、俺だけみたいじゃないか。俺だけが、苦しんでいるみたいじゃないか)
カーティスは、目の前のシルウィンを睨みつける。今日のドレスだって、アウラのお古であり、シーズン遅れのものを着てくるはずであったのに、なぜかシルウィンは流行りのものを着て、公爵夫人に認められていた。
それどころか、夜会の会場がシルウィンを認めていた。その夫であるカーティスには、目もくれずに。ただただ辺境から来たシルウィンだけが階段を飛ばして歩くように認められていた。
(……俺ばかり、この婚約に苦しんでいる。俺だけがないがしろにされている。俺が。俺だけがだ!)
カーティスの怒りが、頂点に達したとき。ねぶるような風が靡き、シルウィンの髪が揺れ彼女の首筋が見えた。瞬間的にカーティスはシルウィンの肩を掴むと、力を籠め、地へとめがけて一気に組み伏せる。シルウィンはとっさのことで対応が出来ず、カーティスは好都合だとシルウィンの華奢な肩をその逞しい腕で押さえつけていく。



