カーティスは、ずっとアウラとの婚儀を挙げるために努力をしてきたのだ。その努力はカーティスの価値観に基づくものであるが、何度も父と母に許しを請い、周りにアウラと結婚するのだと吹聴した。しかし、カーティスなりの努力を続けた末に王命により勝手に婚約が決められたのだ。
カーティスが最も嫌うことは、野蛮なこと。そして争いである。争いは血が流れ、人が傷つく。だからこそ、敵国といえど殺生を伴う戦争は憎み、さらに武器を持ち人を殺す練習をすることで金を得る騎士や軍人の類をカーティスは憎み、その象徴である辺境の人間は心底嫌っていた。
そんな憎しみの象徴である辺境の娘、シルウィンとなぜ婚儀を挙げなければいけないのか。自分にはアウラという愛する者がいるのに。そう考えカーティスはシルウィンを屋敷から追い出し、アウラと幸福な結末を迎えるためにシルウィンに対して野蛮な行為を行っていたが、その振る舞いが野蛮である自覚はなく、当然だと考えていた。
しかし、それがきちんとシルウィンに効いたのは初めだけ。その後シルウィンは淡々と暮らすようになり、挙句の果てにアウラの住む別館に籠城するような形となった。
そしてシルウィンは今では自分の夫となる男が愛している女を、その女のせいで飾りの妻として扱われる原因となった女を、まるで姉のように慕っている。そして夫になる男には目もくれず、どこか俯瞰したような見方をして、笑って見せる。



