【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 静かにシルウィンの後ろを歩くカーティスは、初めてシルウィンと出会った時を思い出す。その時シルウィンはカーティスを見惚れるようにして見つめ、馴れ馴れしく「カーティス様」とカーティスを呼んだ。その時に感じたのだ。シルウィンからの自分への好意を。しかし今は、それを全く感じない。それが非常にカーティスには腹立たしかった。

「はぁ、風が気持ちいいですわ」

 火照った頬を癒すように、シルウィンがため息を吐く。その所作が酷く艶やかに感じられて、カーティスは舌打ちをした。するとシルウィンはカーティスのほうを振り返り、くすりと笑う。

「あら、どうされました?」
「別に何でもない」

 怒りを込めながら、カーティスは返事をする。シルウィンは気にすることもなくまた空を見上げた。カーティスを、まるで視界にもいれないように。その横顔を見て、カーティスはまた怒りを増幅させた。

(この間の食事会の時も、アウラだけじゃなく、この女は俺のことを気にも留めなかったじゃないか)