アウラはすかさず「実はわたくし、お知り合いをお見かけしましたの。それで、少しお話したいのですけれど、それなら今行っても構わないでしょうか、カーティス様」とカーティスの許しを乞いた。
「アウラ、俺も一緒に行かなくていいのか?」
「ええ。女性ですから、カーティス様を間近で見て、好きになってもらいたくありませんもの。では……」
アウラは扇子で顔を隠すようにして去っていく。アウラはカーティスに分からないよう目でシルウィンに礼に代わる合図をした。シルウィンはカーティスに見えないよう笑い、アウラを見送る。
「おい、行くぞ」
「ええ。ありがとうございます」
カーティスはさっさとしろと言わんばかりにシルウィンを見て、ずかずかと夜会の会場を歩き始める。初めて出会ったときとまるで真逆の背中を見て、シルウィンは恋というものはここまで人を愚かにするのだと、自身の恋に向ける想いを冷やしていった。



