【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 しかし大公の仮面は特徴的で、顔を真っ二つに切り取るような仮面が付けられている。もし大公の立ち位置が違っていたなら、その顔をうかがい知ることは出来なかっただろうとシルウィンは大公の仮面を見つめた。

「だから、貴女とお話をしなくちゃいけないと思っていて……。ねぇ。今度私のお屋敷でお茶をしましょう? ここではあまりゆっくりお話出来ないし……今度招待状を送っても構わないかしら」
「はい。是非よろしくお願いいたします。王都についての話も、是非聞かせてください」
「マルヴァータ夫人」

 別の王家の関係者に呼ばれたマルヴァータ夫人は「またお話ししましょうね」と自然に別れるようにシルウィンの元を去っていった。今度は入れ替わるようにシルウィンと同世代ほどの令嬢たちが集まり、シルウィンのドレスを褒め始める。

 シルウィンは、情報を引き出しつつ己の存在を馴染ませるようにして目の前の社交を処理していく。瞳は静かに動かしながらも、会場内の力関係をきちんと把握できるように観察は欠かさない。すると壁際でカーティスと話をするアウラを見つけた。

 アウラはどうやら焦っているようで、視線の先、この国の当主たちが談笑するほうを見ては、愛想笑いをするようにカーティスを見る。どうやら話をしたい人間がいるのに、カーティスを撒けずに困っているようだった。