【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「本当に素敵なドレスだわ……。さっき遠くでお見かけした時に、夫と出会ったときめきを覚えたくらいなの。そしてそのドレスをきちんと着こなす貴女も素敵よ。きっと次のシーズンには会場が紺色で埋め尽くされるでしょうね……。ふふ。いいお嫁さんを貰えてディルセオン公爵は幸せね」

 マルヴァータ夫人は意味を含んだ笑い方をする。仮面をつけても分かるその笑みを見て、カーティスがその敷地内に別邸を建て、愛人を囲っていることは有名だろうとシルウィンは判断をした。

 カーティスは冷や汗を流しながらただ闇雲に返事をするばかりで答えを成さない。今助け舟をだすべきか、それとももう少し後のほうがいいか、駆け引きを考えているとマルヴァータ夫人は「ねえ、早速だけれど私、シルウィンさんとお話がしてみたいの。未来の奥様をお借りしてもよろしいかしら?」とシルウィンの隣に立った。

 その瞬間、シルウィンは夫人の首筋に二つの赤い点を見つけた。カーティスは好機とばかりに頷き、「はい。妻も王都に馴染んでもらう必要がありますから。どうかご教授ください」と言いながら後ろにいるアウラの隣に立った。

(いや、そのタイミングで、愛人の隣に立つのはいい手じゃないわ)