「アウラのドレスは仕立てているが、何せ王命により王都にやってきたシルウィンには、あまりに突然のことでドレスが無い。今から仕立て屋を呼んだところで出来やしない。アウラ、すまないがシルウィンにドレスを貸してやってはくれないか?」
「かしこまりました」
カーティスは全て、あたかもシルウィンが無理を言うようにアウラに頼む。王命の婚約者と強く前置きしているが、カーティスがシルウィンに対する態度は、王命の婚約者に対する態度ではない。
夜会に婚約者と愛人を同伴させるなんて振る舞い。いい笑いものだ。シルウィンは嘲るような感情を隠しながら、元気過ぎない程度に声を弾ませ「よろしくね。アウラ」と無邪気に笑い、勝利を心に忍ばせた。
「でも、わたくしシルウィン様にどんなドレスをお貸ししていいか分かりません。ですから、シルウィン様が選んでくださいますか?」
「ええ。勿論よ」



