シルウィンは今日について、言わば夜会に向けての通し練習のようなものであり、憎きカーティスとの再戦であると考える。初戦は、あの物置のような部屋での出会いだ。シルウィンはあの雪辱を晴らすのだと、そしてカーティスのように腕力を使った暴力ではなく、その心を突き飛ばして踏みつけてやるのだと闘志を燃やしていた。
今はまだ、アウラの力を借りないとその試合会場にも上がれない。けれど必ず正面から勝つ。今は手慣らしみたいなもの。けれど勝つわ。
夜会に着ていくドレスは既に完成している。もう心の曇りもない。シルウィンが黙々と歩き続けていると、アウラに裾を掴まれた。
「シルウィン様、もう着きましたよ……」
「……ああ。私としたことが」
シルウィンを見て、アウラはくすりと笑う。シルウィンはそんなアウラを睨むと「行くわよ」と声をかけ扉を開いた。すると白地のクロスがかけられた長机の先にカーティスが眉を挙げながらシルウィンたちを値踏みするように立っている。机にはすでに料理が並んでおり、シルウィンが一歩前に出ると、アウラに倣った通りに「本日はお招き頂きありがとうございます」と美しい礼を見せ、アウラも礼をした。



