【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 しかし、いくら傍若無人傾向の強いシルウィンであっても、気に入るものはきちんと気に入る。よってリグウォンの屋敷にあるシルウィンの衣装専用の部屋には、仕立て屋のドレスとシルウィンが仕立てたドレスが、半々の割合で置かれていた。

「……本当に、今は! この現状に妥協を……! 仕方ないと……我慢しているけれど、それは絶対見返してやると気力に変えるわ。そして私の勝ちに変える。妥協したまま終わる私なんて、私が許さない。このままだったら、死んでも死にきれないわ」
「ふぅん」 
「だから、夕食会までにこれを縫い上げるの」
「え、夜会じゃなくて?」

 アウラの問いかけに、シルウィンは大きく頷いた。シルウィンには無駄に高すぎる矜持がある。それはシルウィンの価値観によって作り上げられた独特な矜持だ。

 今回の夕食会で、カーティスがドレスについて自慢をするはず。そしてカーティスの頭の中でのシルウィンは、流行りのドレスの無い哀れな女。その想像通りの状況に己がなることを、文字通り流行りのドレスが完成していない状況でカーティスに会うことを、シルウィンは許せないのだった。