【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 にも関わらず彼女は部屋に戻ると借りてきた本を机に置いたきり、一切の興味を失い手に取ることをしない。何を考えているのやらとアウラは『未来なき者たちの咆哮』『公爵による葡萄酒講座』『救いを求む声に慈愛の手を差し伸べた王たちの記録』などなど、まるで統一性のない本を眺める。

 それらは皆貴族たちが趣味で書いたような本で、必要とされて置かれたのではなく自分から作者が寄贈したような本ばかりであった。

(借りたらきちんと返却をしなければいけないのを分かってはいるようだけど……)

 シルウィンは本を借りるとき、きちんと貸し出しの書面に記入をしていた。書面には一か月以内に返却が行われなかった場合、弁償として請求が行く旨が記され、家はリグウォンに請求が行くよう指定していたが、この本を返す時も自分も図書館で連れまわされるのだと考えるとアウラは少し面倒な気持ちになった。

「ねえ、聞いてる?」
「聞いていますよ」
「嘘つき。全然話聞いてなかったでしょう!」

 アウラをシルウィンは睨む。アウラが渋々シルウィンに顔を向けるとシルウィンは「それでいいのよ」と納得したように頷いた。