シルウィンは、護衛たちを見る。いくら自分に向けた初恋が叶えられないからといって、王家に忠誠を誓い、命を捧げる者たちを蛮族呼ばわりしたカーティスを、シルウィンは許す気には到底なれず、恋が再燃することもない。復讐の遂行に、心が変わることはなかった。
「まぁ、ハンカチを偽ったのは、私が許してあげる。あなたがいくらあのハンカチを自分が刺繍したといっても、私が金糸雀と戦った時間に偽りはないもの」
ふんと鼻を鳴らして、シルウィンはアウラを見る。アウラの顔は相変わらず面に覆い尽くされ見ることができない。しかしその面の、子供が殴り書きをしたかのような夥しい量の線の一本が薄くなっているように見えた。
「さて、休憩はおしまい。また王都を歩くドレスたちを見るわよ」
「見るわよ……とは、これはわたくしも協力を?」
「だって暇なんでしょう? 読み聞かせを見るくらいなんだから」



