今読まれている内容も、同じようなものだった。人間に恋に落ちた吸血鬼が、自身の正体を隠して人間と交流する。しかし人間は事故で重い傷を負い、もう先がないと医者に言われてしまう。
しかし吸血鬼は人間が死んでしまうのが嫌で、ある契約を勝手に行う。吸血鬼が人間の胸元から吸血することで行われる、愛の契約。そうすることで人間は吸血鬼となった。吸血鬼は自身の正体を明かして、人間はすんなりと受け入れてしまう。そして二人は永遠に結ばれるという、都合の良すぎる、ありふれた幸せな結末だ。
そんな物語を読み聞かせる光景を、アウラは適当な本を取りながら眺めていく。するとさきほどまで熱心に手帳に記入をしていたシルウィンが、アウラと同じように読み聞かせに目を向けていることに気付いた。
「……外を眺めるのは、もうよろしいのですか」
「ええ。もう同じような夫人や令嬢しか歩いていないから、少し時間を置かないと……」
シルウィンは手帳に記入した時と同じように、読み聞かせに真剣なまなざしを向ける。アウラはそんな横顔を見て「シルウィン様はああいった存在を信じますか?」と問いかけた。



