(変わってるなあ。この女。でもまぁ、あれだけの扱いを受けたのだから、怒るのも妥当か。でも普通は慣れていくか、ただ抵抗しなくなるかだけど)
アウラはそう考えた後、シルウィンが壁を這う女であることを思い出し、根本から変わっているのだと考え直した。そして気怠い気持ちで周りの景色に目をやっていると、後ろの方で行われている読み聞かせが新たなものに変わった。
「では、次は吸血鬼と恋のお話です」
図書館の職員が絵本を取り出し子供の前で掲げる姿を見て、アウラはため息を吐く。ここ最近王都では、吸血鬼に纏わる恋の話や、戦いの話が流行り浸透しつつある。
その内容は人ならざる者たちと人間の共存を示唆させるような内容で、そういった類の物語は増える一方だ。しかし一部の意見ではその流行の動きがおかしい、何か王家が癒着をしているのではと疑惑の声が上がっている。



