【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 些細な振る舞い一つで見られる目ががらりと変わる。それが社交界という場であり、決して妻に嫌がらせをし、泣かせてやろう、家から追い出してやろうという子供じみた感情を持って行動していい場ではない。だからこそ今シルウィンは、武器を手にするために淡々と街の人を見下ろすことにしたのだ。

 流行を知り、他の公爵家へと近づくために。

 シルウィンは、王都の家々の事情について何も知らず、言わば周りは皆敵か味方か分からない状態であった。しかし、彼女は敵や味方を判断する必要もないと結論付けたのである。

 自らが人と接し、流行を背負い自らに注目を集めることで、自身が積極的に行動せずとも、人の目によって現在自分がどんなに不当な状況に扱われているかを暴かせるという、自分の手を汚さず、領地や自分の家を守った状態で公爵家に傷を与えるという方法を考えていた。そして彼女は、人々の装いから共通項を見出すようにして、手帳へと記入していく。

 そんなシルウィンをアウラは護衛たちが見ている手前、彼女に微笑みかけるようにしながらその様子を冷めた瞳で見ていた。