【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「聞いてくだされば正直にお伝えしますのに」
「ええ。でも私が知りたいのは、今の流行だけじゃなく、先のこともなの」

 シルウィンがアウラに流行を尋ねなかったのは、今王都を歩く人々の装いを知り、流行の先を取るためだ。今シルウィンはカーティスと戦うにあたり武器がない状態で、現在かろうじて人並みの生活を勝ち取れたのはアウラへの脅迫だけ。

 要はシルウィンがカーティスに勝つための武器はアウラしかいない。服はアウラのものを借り、自身を労わるものもアウラ頼み。食事も湯あみもすべてアウラに頼り切っている。シルウィンが自分の力でカーティスに勝ったことは、まだ一度もない。そのことについてシルウィンは自分を不甲斐なく、悔しく思い、かといってそれらを全てを感情で放棄してしまうほど愚かでもなかった。

 シルウィンは、王家主催の夜会についてカーティスから知らされていない。彼女がそれを知っていたのは、辺境から王都へ発つとき自分の父親から聞いたからだ。

 カーティスは、突然シルウィンを夜会に誘い、適当なドレスを着せ、恥をかかせようと目論んでいる可能性が高い。そうシルウィンは読んでいた。本来ならば妻が流行りのドレスを着ていなければ、流行りのドレス一つ買ってやれない状況なのかと夫は責められ、または流行一つ学べない妻を娶ったと冷たい目で見られる。