【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「だから、声を潜めて話をすれば、護衛たちには気づかれないだろうってことと、それとここからなら、王都の街を見ることができるでしょう?」

 そう言って、シルウィンは下を見下ろす。アウラも同じように視線を合わせると、確かにそこには王都の街並みが広がっており、行き交う人々の動きが手に取るように分かった。

「こうして、次の流行を探すことにしたの。あと十日もすれば、王家主催の夜会があるでしょう? 私はここに来たばかりだし、流行に無知な令嬢を相手にしてくれるほど社交界が優しくないのはきっとリグウォンも王都も違いはないでしょうし」

 シルウィンは、静かに人々の装いの色合い、形、そして装飾品の規則性を見極めていく。王都の流行は、遅れるようにして辺境にも流れていく。そしてその流行は少しずつ形を変え、規則的に繰り返されていく。

 ただ途中で大きな災いがあったり、争いがあればその動きを不規則に変えてしまうが、最近はそういったこともない。彼女は以前、自身の能力が何であるか己の力によって導き出した時と同じように、朝アウラから借りたペンを用いて、アウラに借りた手帳に記入していく。