アウラは妖艶な所作を作り上げ、カーティスを見据える。シルウィンには、ただ仮面が吐息交じりに話をしているようにしか見えない。しかしカーティスに効果はあったらしく、カーティスは「しかし……」とどんどん先ほどまでの勢いを失っていった。
「それと、朝ご飯も彼女と一緒に食べたくて……二人で。今まで酒場でお話をするのは男の人が多く……女同士でお話がしたいです。ねえカーティス様、お願いいたします」
「……っ、わ、分かった。アウラがそこまで願うなら、叶えんこともない……。おい蛮族、アウラに何かしてみろ、二度と辺境の地を踏めなくしてやるからな。覚えておけ。このディルセオン家は王家との繋がりも深い。いくら辺境の蛮族といえど火の海にしてやるからな。分かったか。お前の行動で領民がどうなるかがかかっている。それをよく肝に命じて置け」
カーティスはシルウィンを睨み付けてから、アウラに「何かあればすぐ人を呼べ」と優しく言って部屋を去っていく。そして扉が静かに閉じられて、その足音が聞こえなくなるのを待ってから、シルウィンは「見たでしょあの態度、最初からよ! 普通すると思う!? 領民を人質に取ろうとするなんて!」と声を潜めながらもアウラに顔を向けた。



