シルウィンがこの部屋にいれば、少なくともカーティスの前で自分と居続ければ、カーティスは自分を求めてくることはない。シルウィンがこの部屋にいれば、夜這いの心配もない。浴場に入ってくる懸念も不要になる。そこまで悪いことでもない。
「そうしましょう。交渉成立ね」
「あら、交渉じゃないわ。命令よ。でもまぁ、いいわ」
シルウィンが手を差し出す。アウラは渋々その手を取ると、シルウィンは勝ち誇ったように笑う。
「ところであなた名前は」
「……キャド」
「嘘ね。あなたって本当に呼吸をするように嘘がつけるのね」
アウラは眉間に皺を寄せると、それを雰囲気で感じ取ったシルウィンは「冗談よ。嘘を吐くだろうとは思ったわ」と頷いた。
「まだ会って半刻しか経っていない相手を信用するはずがないもの。今のはあなたの嘘が私には全部お見通しってことを念押ししただけ」
「ふふ。食えないお方」
ぽつりとアウラが呟くと、シルウィンは「あなたに言われたくないわ」とアウラを見た。そして少し考え込んだあと、アウラに「早速だけど……」とある計画を伝えたのだった。



