【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 自身に向けるカーティスの好意は、アウラ自身が仕向けたものだ。アウラには、ある大切な目的がある。それは絶対に果たさなければならない目的だ。その為にアウラは身分も性別も何もかもを偽り、踊り子としてカーティスの通う酒場に入り、愛人となりこの別邸の屋敷に住まうまでになった。

 最初の頃は楽だったと、アウラは過去を思い返す。君を見ているだけでいいと、カーティスは己を愛でそして己を楽しませることだけしか望まなかった。しかし最近では、アウラの身体全てを求めるようになったのだ。このままいけばアウラは自身の性を偽っていることが明らかになってしまう。

 アウラはその都度誤魔化し続け、醜い傷跡がある、恐ろしいなど理由をつけていたが、最近ではカーティスは引き下がりにくくなってきた。そう考えると、自分が目的を果たす間、徐々にシルウィンにカーティスの目を向けさせるようにしていけば、最終的に自分の益になるかもしれない。アウラはシルウィンを密かに値踏みするように見る。

(それに、この女が言った、嘘を見抜けるという能力……)

 アウラは、嘘をついている。それについては自身が一番よく分かっている。他の人間より多くの嘘を吐いていることもだ。それを言い当てた時点でアウラの中で、シルウィンの能力だけは信頼に値するものへと変わった。そして、利用する価値があると判断する。