「ねえアウラ。愛人の分際で貴女は王都一の香油を身に着けて、私は行水のような湯あみをしているの。おかしいわよね。あなたは愛人で、私は正妻のはずなのに……。ねえ、アウラ?」
「……わたくしを、脅すのですか」
「脅すなんてとんでもない。これは命令よ。でも、そうね、難しいことじゃないわ。それに何も、あなたを屋敷から追い出そうなんていうつもりもないもの。私は」
高笑いをするシルウィンの言葉に、アウラは静かに次の言葉を待つ。シルウィンは「安心して」と付け足して、アウラに知らしめるように顔を近づけた。
「アウラ、カーティスを私に惚れさせるのに協力しなさい」
「は……?」
「私は、あの男に復讐をしてやるの。私に心底惚れさせて、ぼろぼろにしてから捨ててやるのよ!」
シルウィンは、風に髪を靡かせながら、笑みを浮かべそう高らかに宣言する。アウラはそんなシルウィンを、唖然としながら見つめていた。



