「あなた、男でしょ。それも男が女装してるんじゃなくて、公爵に男だって隠してる、男……」
シルウィンが当てずっぽうで言葉を言い放った瞬間、二人の間に通る風が止まった。そして流れを変え、シルウィンを追うような向きに変わり、シルウィンの丹色の髪、そしてアウラの黒々とした髪を靡かせていく。
「そんなことありません。どうしたのですか、シルウィンさま……」
アウラの仮面に、その髪と同じように黒い線が轟くように刻み込まれていく。このまま押し切るしかない。今が好機だ。シルウィンはそう直感し、ぐっと口角を上げた。
「私にはね。嘘が見えるの。そしてあなたは、私に嘘を吐いた。男なのに、女だって……。ねえ、公爵があなたの嘘を聞いたらどう思うのかしら。公爵は私の言葉を信じないかもしれないけれど、同じ言葉を聞いた使用人の中には、信じる人間もいるかもしれない。少なくとも疑いの種は撒かれ、あなたの行動次第で芽吹くわ。今までは騙せていたかもしれないけれど、きっとこれからどんどん葉をつけていくわよ。そしていつか、花が咲く」
シルウィンはアウラに一歩一歩近づき、見据えるようにアウラの仮面を見る。そして、その手を取った。



