【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


「うそっ」

 シルウィンが、即座に己の可憐な姿が地面に叩きつけられ無残になっていくことを想像し目を閉じた瞬間、シルウィンの手首をその何者かが片手で掴んだ。

 シルウィンが即座に顔を上げると、部屋の灯りによって、自分の手首を掴む人物の姿が映し出される。その力にシルウィンは男を想像したが、そのシルエットはどう見ても女で、さらさらとした黒い髪を垂らし、透けるように上質な夜着に身を包みながら、右手だけでシルウィンの手首を掴んでいた。

「え、アウラ……?」
「ええ。わたくしはアウラです。それより、今の状況についてお分かりでしょうか……?」
「え、あ!」

 シルウィンは掴まれていないほうの手でバルコニーの柵の部分を掴み、足は装飾へとかけた。アウラはそれを見計らうようにしてシルウィンを引き上げていくと、とうとうシルウィンが別邸のバルコニーに降り立った。