シルウィンは、かつて自分の能力の答えを導き出したのと同じようにこの十日間、カーティスがアウラの部屋を訪れ、退出する時間。そして別邸の灯りが消え、警備が手薄になる時間を記録し続け、好機を狙っていた。そして導き出した好機が、今の瞬間であった。
「泥棒猫なんて、どうにかしてやるんだから」
シルウィンは別邸を観察し、昇りやすい場所を見つけ、彫刻を鷲掴みにしながら屋敷に上っていく。その瞳は燃えるような怒りで揺らめいているが、何もそれは己がないがしろにされた怒りだけではなかった。
――戦いしか能のない蛮族。
カーティスのその言葉に、シルウィンは怒りを覚えたのだ。シルウィンは普段からリグウォンの、日々国境を守るためにと鍛錬を怠らない騎士たちを誇りに思っている。
シルウィンの父が騎士の中から自身の夫を選ぼうとしたときは「それだけは絶対やめて!」と怒鳴りつけたが、彼女はあくまで自らの夫にふさわしくないと考えているだけで、リグウォンの民たちを大切に思っていた。感謝も尊敬もしていた。ただ、自分の夫にふさわしくないと考えていただけだった。



