【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 もし他人に吐いた嘘までシルウィンの目の判定の対象となるのならローウェの吐いてきた嘘は膨大で、突然仮面が半分削れることはあり得ない。そこで導き出した結論が、シルウィンが見えているのは嘘ではなく、嘘を吐いたことに対する意識であるということだった。

 嘘を吐いたとき、人は自分が嘘を吐いたと自覚する。ローウェは自分を嘘だらけの、偽りにまみれた人間だと捉えていた。その自覚がシルウィンの話す「おかしな仮面」の正体であると、ローウェは気付いたのだ。

 だからこそ、ローウェが侍女を手引きしたことについてシルウィンに伝えなくても、それは偽りとして判定されない。あの時確かにローウェは、今まで沢山の人間を傷つけてきた。奪ってきた。そして嘘を吐いてきたとシルウィンに伝えたのだ。そのことで、ローウェの中に嘘の自覚は完全に消えた。

「何を言ってるかわからないが、将来何をしても欲しいと思える伴侶が出来たことは喜ばしいことだ」
「ええ。こんなにも何かが欲しいと、奪ってでも欲しいと思い、この期に及んで生きたいと思うことは予想外です」