【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 シルウィンがないがしろにされるのは、何も湯あみだけではない。食事もだった。出される食事は半分のパンにスープ、そして肉や魚料理とサラダと、品数は最低限あった。しかしパンは異常に固く、三日ほど外に放置されたようなもので、スープは常に食事ではない何かが浮いていた。肉や魚料理は料理というより腐敗した残飯で、人の食事ではなかった。

 かといって残そうとすれば給仕に「最果てのお嬢様のお口に合いませんか」と嫌味を言われ、シルウィンは鬱屈した思いを抱えていた。

 眠る際もシルウィンの苦痛は続いた。ベッドは初日見た時と同じまま、カビ臭く固いベッドで、シルウィンは眠るたびに体が軋む感覚を覚えるものだった。

 この状況をなんとか父に伝えることができないかと侍女にペンと便箋を渡すよう伝えると、侍女は先を見通したように「リグウォンとのご連絡は婚儀が終わるまで控えてください」と言われ、用意はしてくれない。

 ならばとシルウィンはカーティスに直談判をしかけようとしたが、「婚前の淑女が婚約者と会い万が一があってはなりません」と許されない。しかしシルウィンの部屋から、愛人アウラなるものの女が住む別邸はよく見え、花束や贈り物を抱え朝昼晩熱心に通うカーティスの存在を確認することができた。