「まぁそういう絵は人づてに聞いたり、肖像画を見て描いたりしてどんどん実物と変わっていくものだし、仕方ないよ」
「でも目と目の間なんて、こんな開いちゃってるわよ、こんなよ!?」
シルウィンは隣でともに船を待つローウェに自分の目を押さえ、新聞の顔をなぞらえるようにして伝える。するとシルウィンと同じように平民を装い深々とした帽子を被るローウェは「皺になるよ」と笑う。ローウェの言葉にシルウィンは慌てて自らの目から指を離して、皺を伸ばすようにさすり始めた。
「大変だわ、いつも気を付けてるのにこんなところで!」
「それよりもう少しちゃんと帽子被って、王都で死んだ君がこんなところで見つかってしまったら騒ぎになってしまうから」
「ああ、そうね……」
ローウェの言葉に、シルウィンは深々と帽子を被りなおす。そして、また新聞を読み始めた。
なぜ、こうしてシルウィンが生きているのにも関わらず、葬列が行われているのか。それはシルウィンが表向き、死んだことになっているからだった。いくら新政派が現王を失脚させようと、離縁は早々出来ない。そして人の目もあり、リグウォンは旧政派に位置しているため、下手をすればその余波を受けてしまう。



