本来であれば、ディルセオン家の公爵とリグウォンの末娘が婚儀を挙げ、輝かしい祝いと祝福の声が花婿と花嫁に向けられるはずだった本日。王都で一番大きな教会では、花も何もかもが黒と白で纏められ、参列者も黒の装いで統一され、揃えたように喪に服していた。
何故ならば今日はディルセオン家とリグウォン家の花婿花嫁が結ばれる日ではなく、リグウォンの末娘、シルウィン・リグウォンの葬儀が行われている真っただ中だからである。
喪主を務めるのはディルセオン家の当主、カーティス・ディルセオンで、彼は涙ながらに参列者に頭を下げていた。そんな彼を前に参列者たちは怒りのこもった瞳で彼を見つめている。というのも、リグウォンの娘は救えたかもしれないにも関わらず、その短い生涯を終えたからだ。
彼女が亡くなったその日は、奇しくも彼女の十七の誕生を祝う夜会が開かれていた。そこに、かつてディルセオン家の侍女を務めていた女が夜会に乱入をしたのだ。そこで女はディルセオン家の公爵に無理やり襲われたことを語り、屋敷に火を放った。風が乾き、火の回りが早かったことで一瞬にして屋敷は炎に包まれ、招待客は混乱に陥り、子は泣き、怒号が飛び交い、半ば乱闘のような騒ぎになった。



