「呪具は、三つ失われた。もともとは五つあったけど、後の二つは失われているものとされていたんだ。確かに一つは廃されたけど、俺が大公に使った短剣は残っていて、それを宰相に託された。そして、当時実験に関わった家の資料も渡されたんだ。全て宰相の企みの内だったってことだよ。犯人の見当をつけていたのに、俺を使って自身を宰相にして、呪具を三つ破壊させてから、宰相は手の内を明かしたんだ。腹が立ったけど、俺は復讐する相手とその手段を両方を手に出来た。それまでずっと吸血鬼を殺す手段を探して、俺自身研究してきたけどずっと見つけられなかったから」
「そして、ディルセオン家に……?」
「ああ。マルヴァータを調べるためにどこか王家に近い公爵家に紛れることは必須で、最も入りやすい家がそこだったから。日が昇って月が顔を出そうとしているところまでは愛人アウラとして、そしてそれ以降はマルヴァータ家を調べるために時間を使った。そうして過ごすうちに、君と出会ったんだ。シルウィン」
アウラが、シルウィンの名を呼ぶ。その名を呼ばれただけで、シルウィンは満たされる想いを感じた。アウラはその仮面に描かれた怨嗟を夜空に溶かしていきながら、話を続ける。



