シルウィンは、呪具について、詳しく知らない。けれどその存在の意味をアウラと大公の会話から理解したとき、なんとなくメアロードの侍女が襲われた事件について、知れた気がした。そして今度は、自分はアウラについて知っていってるのだろうと思いその声に耳を澄ませる。
「そして決めたんだ。必ず王家に加担した吸血鬼を見つけ出して、殺してやろうと。そして今なお、奴の中で再生と消滅を繰り返す家族を救おうと。俺は、呪具について調べた。その成り立ち、どうやって失われてきたのかも、何もかも。そしてまた、声をかけられたんだ。俺は騎士団長とのことがあったから、どんな相手でもいざとなったら殺してやろうと決めてた。その矢先に出会ったのが、ダリウス・シャイルリードだ」
「ダリウス・シャイルリードって、この国の宰相じゃない」
「ああ。出会った頃の奴は宰相じゃなかったけど、いつかこの国の宰相になると奴は勝手に決めていた。そして王家に伝わる呪具を自分の代で全て破壊することが目的だと俺に言ったんだ。俺は最初疑ったよ。でも、奴にも事情があって、結果的に俺は奴を信じることにした。俺は奴の駒となって、奴に立ちはだかる家や人を潰して回った。そして奴が宰相になってからは、国の諜報員として、エドワード・キャロラインという名前で他国を巡り、女の格好をして、情報を盗み、謀りを繰り返した。地獄に落ちるようなことはなんでもしたよ。友だと呼べる人間を、裏切ったこともある」
そう言うとアウラは「メアロード家の侍女が襲われた話は、知っているでしょう?」とシルウィンに問いかけた。シルウィンは大きく頷く。するとアウラはまた話を続けた。



