アウラはそう言って、考え込むように目を伏せ、意を決したように前を見据える。
「……俺の、父さんは村をまとめ上げていたけれど、家ではただ、家具を作るのが好きな父さんだった。母さんは料理を作るのが好きだった。そして、俺には君と同じように、姉がいた。姉さんは、いつも俺に嫉妬してたよ。俺が母さん似で、綺麗な顔だと言って、いつも悔しそうにしてた。……分かりやすい、ありふれた家族だった。でも、俺が八つの頃……何の予兆もなく、いつも通り俺が川に釣りに出かけて家へ帰ると、誰もいなかった。周りの村の人に助けを求めようしても、村の人もいなかった。そうして、村を回ってるときに、山向こうに紋章の着いた馬車を見かけたんだ」
アウラは、淡々と話をする。けれどシルウィンには、その仮面はどこか泣いているように見えた。
「そこにみんなが乗っていたのかもしれない。そう思っても確証なんてなくて。かといって村を出る勇気もなく、しばらく一人で、暮らしてて……。そして食料もなくなってきた頃、村に誰もいないと騒ぎを聞きつけた隣の町の人々が、村の様子を見に来たんだ。そこで俺は、何が起きたかを話して……でも隣の村の人は、難しい顔をするばかりで、何があったのかを教えてくれなかった。そして俺は隣町の孤児が集まる場所へと引き取られたんだけど……」



