【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 そこには煌びやかな装飾が並び、色鮮やかに会場を彩っているがシルウィンの目にはどれも陳腐なお飾りに見え、誰にも気付かれないようため息を吐く。やがてシルウィンは、きな臭いような、何かが焦げた匂いを感じ取った。

(……なに、この匂い)

 シルウィンが周りを伺うと、特に目に見えた異変はない。けれど徐々にその匂いが濃くなっているような気がして、会場を見渡していると同時に、燭台を灯していたシャンデリアが轟音を立てて落下し、飛び散った。

 招待客の悲鳴や、戸惑いの声が会場に木霊していく。残った光源は壁沿いに置かれた燭台のみで、辺りは煌びやかな雰囲気から一変して、薄暗いものへと変わった。シルウィンは急いでシャンデリアの下へと向かうと、そこには誰もおらず、下敷きになっている人間もいなかった。

 ほっと安堵しているとシルウィンは油のような匂いを感じ取る。その匂いが強い方向へ顔を向けると。大広間の正面、ディルセオン家の当主、カーティスの肖像画が大きく飾られている壁から張り出した、装飾品を飾るふちのような部分に足をかけるようにして、女が燭台を片手に立っていた。