【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 シルウィンは心の中でカーティスを凍てついた目で見る。これからあと半月もすれば、自分はこの男と結婚する。そしてこの男の子を産み、この家の者として生きなくてはいけない。

 シルウィンはもうその覚悟を終えた。

 子を産むための過程で触れられるのは嫌悪を抱くが、半分の血は愚かといえど、結局は自分の子供だ。子供がいれば、この退屈で、檻のような生活の中で張り合いが生まれるだろうか。

 しかし、この男に触れられたくはない。いっそ初夜の時、この男を眠らせ事を終えたふりをして、子を産むまでリグウォンに戻り、どこかの孤児院で赤子を譲り受け、その子を育てたい。

 シルウィンは淡い夢に浸る。すると無理やりシルウィンを夢から覚ますようにカーティスがシルウィンに声をかけた。

「なぁ、シルウィン。婚儀のことなんだが」
「ええ、カーティス様。婚儀がどうされました?」
「婚儀を終えたら、どこか旅行に行かないか? どこかひと月くらい見知らぬ土地で見聞を広げたいんだ。そうだ、リグウォンの土地に行くのもいいな。シルウィンの育った場所が見てみたい」
「いいですわね」

 ――その旅行、一人で行けたなら。シルウィンは声に出さず付け足して微笑む。これから先。自分の未来が心底くだらないものに思え、天井を見上げた。