【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ


 アウラを失い、そしてシアンが現れひと月。カーティスは自分の妻に仕えている存在が見慣れぬものだということにようやく気付いた。

 シルウィンは「あの方がいなくなって、カーティス様がしばらく籠られていたときに働き始めたのよね?」とシアンに目配せをすると、シアンも頷く。カーティスは当時の記憶をあまり思い出したくないようで、歯切れ悪く頷いた。そしてばつが悪そうにシルウィンを見る。

「なんだか、彼は君との距離が近いような気がするんだが」
「護衛ですからね。ただ闇雲に近づいているわけではありませんわ。仕事ですもの」

 シルウィンは気怠げにため息を吐いた。カーティスはシルウィンのその動作に頬を染める。そんなカーティスの表情を見て、アウラに教えてもらい元気をある程度削った状態で話す練習をしたことをシルウィンは思い返した。

(あの時は大変だと思ったけれど、今は何の問題もなくやれるわ。疲れたふりじゃなく、私は今疲れている。この男の相手をすることに)