「どうされました? そんなに大きな声を出さなくても聞こえますわ」
「ならそっちの部屋に行ってもいいか?」
「それはやめてください」
シルウィンはきっぱりと断る。カーティスは度々シルウィンの別邸の部屋に訪れようとするが、それをシルウィンは断り続けていた。シアンは申しつけの際に出入りしており、特に誰かに立ち入られたくないわけでもなかったが、カーティスを入れることだけはアウラとの思い出を闇雲に踏み荒らされる気がして、拒否し続けていた。
「本館で、夜会を開きたいんだ! もうすぐ君の誕生日だろう?」
「まぁ素敵。お任せしますわ」
「ありがとうシルウィン!」
カーティスの満面の笑みに嫌気がさし、退避するようにシルウィンは椅子のほうへと戻り、先ほどより随分と重たくなった身体を預けるように椅子に腰かけた。そして今日何度目かわからぬ溜息を吐く。



