【完結】嘘つき騎士様と嫌われシンデレラ



「退屈だわ。くだらない。王都の街も見慣れてしまえばただの土と木の塊ね」

 アウラがいなくなってひと月。シルウィンは気怠げに別邸のバルコニーに置かれた椅子に腰かけ、王都の街並みを見下ろしていた。そんなバルコニーの下では木陰から様子を窺うようにしてカーティスがシルウィンを見上げている。 

 あれから、アウラがいなくなって、カーティスは変わった。会えばアウラのことを悪しざまに言い、裏切り者だと称した。

 シルウィンには「やっぱり運命の相手は君だったのかもしれない。初恋は実らないというし」と言ってのけ、すり寄る姿を見せた。別邸に住まうシルウィンに対して、本来ならシルウィンが辺境から訪れたその日に住まう部屋を紹介し、そこにシルウィンを迎え入れようとした。

 しかしシルウィンはその要求を、表向きは婚儀が終えるまではこのままでと伝え、はねつけた。そんな主人に屋敷の使用人はどこか冷めたような目を向け始め、カーティスはシルウィンどころか、使用人たちからも距離を置かれている。